所得税と並んで私たちにとって身近な税金である「住民税」。でも、具体的にどんなものか聞かれると意外と知らないこともあるのではないでしょうか。


「住民税決定納税通知書」が届いたら…

 住民税についてどの程度ご存じでしょうか。意外と深く考えずにそのまま納付している方も多いのではないかと思います。


 毎年5~6月ごろに、「住民税決定通知書」が会社から手渡されます。自営業の方などは、住まいの地区町村から住民税決定通知書兼納税通知書が届きます。


 みなさんは、この「住民税決定通知書」はどうしていますか? 住民税の金額だけを見て、「こんなに取られるの!?」とぼやきながら、カバンにしまったりしていませんか?


 決定通知書を受け取ったら、まず見ておきたいのは「生命保険料控除」「地震保険料控除」「扶養控除」などの控除がきちんと反映されているかどうかです。
 
 市区町村では、勤務先から送られる給与支払報告書の内容をもとに、住民税の各種控除を計算しています。


 特に、年末間際に退職や転職をして年末調整を受けていないような方の場合は、給与支払報告書に各種控除が反映されていませんので、このように給与支払報告書データに不備があると、住民税の税額も誤ったものになっている可能性があるのです。

誤りがあるかどうかは、自分自身で発見して修正しないと、そのままになってしまいます。


 支払う必要のない税金を払うことのないよう、住民税の決定通知書はしっかりと目を通すようにしてください。「何かおかしい」と思ったら、住まいの市区町村に問い合わせてみるとよいでしょう。


 また、所得税から「住宅ローン控除」を控除しきれない場合、住民税から控除することができますが、これが反映されているかどうかも確認しておきたいところです。


ふるさと納税の税額控除」が反映されているかも要確認!

 2018年にふるさと納税を行った方は、その控除が住民税においてなされているかの確認もしましょう。


 税額の明細のところに、「寄附金税額控除」として税額から該当額分が差し引かれていれば大丈夫ですが、もし差し引かれていないとすれば、住民税ではふるさと納税による税減額が反映されていない可能性があります。


給与以外の所得に対する住民税は「普通徴収」にできる

 所得税の確定申告書第二表には「給与・公的年金等に係る所得以外の所得に係る住民税の徴収方法の選択」という欄があり、ここに「給与から差引き」と「自分で納付」の2つの選択肢が記載されています。


 「給与から差引き」とは特別徴収のことで、「自分で納付」とは普通徴収のことです。


 給与以外の所得、例えば不動産所得や副業から得た所得がある場合、所得税の確定申告時に「自分で納付」に丸をつけておかないと、給与所得に加えて不動産所得に対する住民税も特別徴収となり給与から差し引かれてしまう可能性があります。


 もちろん、特別徴収でも普通徴収でも、トータルで納付すべき税額は同じなので、その点についてのデメリットはありません。


 ただ、給与以外の所得を特別徴収にすると、会社に給与以外の収入があることが知られてしまいます。これを知られたくない場合は、所得税の確定申告の際に、「自分で納付」の欄に丸を付けるのを忘れないようにしましょう。


退職時の住民税の精算には要注意!

 これまで転職の経験をされた方は、勤務先を退職するときに「住民税の精算」を勤務先から求められたことがあるのではないでしょうか。


 会社員の方の給料にかかる住民税は、勤務先が天引きして市区町村に納付する「特別徴収」という仕組みで納税されています。


 具体的には、昨年分の所得に応じた住民税を、今年6月~来年5月の12回に分けて特別徴収しています。
 しかし、勤務先を退職すると、その後勤務先は特別徴収ができなくなってしまうので、住民税を納付できません。


 そのため、1月から4月に退職した場合は、5月分までの残額を一括して会社が特別徴収することになっています。


 5月に退職した場合は、従来通り5月分のみが特別徴収されます。6月から12月に退職した場合は、残額を一括して特別徴収してもらうこともできますが、特に6月退職だと、1年間の住民税を一括して払うことになり、資金的な負担が大きくなってしまいます。


 そこで、「特別徴収」ではなく「普通徴収」に切り替えてもらえば、後日、市区町村から送られてくる納付書から何回かに分けて納付することができます。


 また、転職先がすでに決まっている場合は、転職先で特別徴収をしてもらうこともできます。


 このように、退職する時期により住民税をまとめて支払わないといけなくなることがあるという点は、十分に注意しておきましょう。


◎まとめ:「住民税決定納税通知書」で調べる! 控除漏れチェック項目5

1)「生命保険料控除」「地震保険料控除」「扶養控除」などの控除が反映されているか


2)所得税から「住宅ローン控除」を控除しきれない場合、住民税から控除することができるという点


3)給与以外の所得に対する住民税は「普通徴収」を選んでいるか


4)退職する時期により住民税をまとめて支払わないといけなくなることがあるという点


5)転職先がすでに決まっている場合は、転職先で特別徴収をしてもらえるか


(足立 武志)