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- アメリカでは、主に富裕層を対象とした「ウェルス・ワーク」もしくはパーソナルケアの仕事が急速に増えている。
- ブルッキングス研究所の最新レポートによると、ネイリストの仕事は2010年以降2倍に増えていて、フィットネストレーナーの求人は全国平均の2倍のスピードで増加している。このデータはThe Atlanticが最初に報じた。
- 「ウェルス・ワーク」は、アメリカの富裕層が国の富の大部分を独占する中で増加している。
アメリカの富裕層は気ままに過ごしたい —— だから彼らは人を雇う。
ブルッキングス研究所の最新レポートによると、プライベート・シェフや家政婦、マッサージ・セラピスト、保育係といった「ウェルス・ワーク」もしくはパーソナルケアの仕事が2010年以降、急速に増えている。
事実、2010年から2017年の間に「マニキュアやペディキュアを施すネイリストの数は2倍に増え、フィットネストレーナーやスキンケア・スペシャリストの数は少なくとも全国平均の2倍以上のスピードで増加している」と、The Atlanticはブルッキングス研究所のデータを引用し、報じている。
中でも、これらの仕事はハワイ州やフロリダ州といったリゾート地を中心に増えていると、ブルッキングス研究所のレポートは指摘している。「ウェルス・ワーク」は富裕層が多く住む都市にも多い。
ブルッキングス研究所のレポートは、ネイリストやヘア・スタイリストといったパーソナルケアの仕事から税務申告書の作成者やファイナンシャル・アドバイザーといったお金の専門職まで、主に富裕層を対象とした12の特定の職業に焦点を当てている。
米労働統計局の職業雇用統計のデータを使って、Business Insiderは2018年5月現在(入手できる最新のデータ)、これら12の職業がそれぞれの州の労働人口に占める割合をまとめた。
Business Insider/Andy Kiersz, data from Bureau of Labor Statistics
超富裕層向けの仕事であるにもかかわらず、こうしたウェルス・ワークの稼ぎは多くない。労働統計局によると、ネイリストの収入は1時間あたり約11ドル(約1160円)、スキンケア・スペシャリストの収入は1時間あたり約15ドル(約1580円)だ。フィットネストレーナーやプライベート・シェフはもう少し稼いでいるが、仕事は不定期だ。
収入格差が広がるにつれて増える富裕層向けの仕事
富裕層向けのサービス業は(少なくとも部分的には)貧富の差の拡大から生じている。
2016年、アメリカの富裕層上位20%は全体の富の77%を所有していた —— そして上位1%だけで中流層全体を超える富を所有していた。さらに悪いことに、上位1%は全体の富の23.9%を占めている。富裕層がこれほど高い割合を占めるのは、世界大恐慌の直前以来のことだ。
富裕層がさらに裕福になり続ける一方で、多くのミドルクラスや労働階級のアメリカ人は苦しんでいる。アメリカ経済は、仕事を探している人の数よりも求人数の方が多い状態を意味する 「完全雇用」状態とはいえ、賃金は伸び悩み、その伸び率(インフレ調整後)は1973年以降、年率0.2%だ。
(翻訳、編集:山口佳美)