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法人版・個人版に続く第3弾! 第三者への事業承継に税制措置

2019/10/21

 経済産業省は、令和2年度税制改正案において第三者への事業承継を促進させる税制措置の創設を要望した。近年、後継者不在を背景に黒字企業を含めた企業の休廃業・解散件数が増加傾向にあり、価値のある企業や技術などが失われることが危惧されている。そこで、昨年の法人版事業承継税制の抜本拡充、今年の個人版事業承継税制の創設に続く第3弾の措置として、株式・事業の譲渡やM&Aを通じた親族以外の第三者への事業承継を促進させる新たな税制措置を創設する。

 また、同省では、自社株式等を対価とした株式取得による事業再編の円滑化措置の創設を求めた。具体的には、法制審議会で決定された「会社法制(企業統治等関係)の見直しに関する要綱」により、自社株式等を対価とするM&Aについて、新たに「株式交付制度」が創設される予定だが、この会社法改正を踏まえ、迅速かつ大胆な事業再編を円滑に実施できるよう、欧米諸国では一般的に用いられている自社株式等を対価としたM&Aについて、対象会社株主の譲渡益等に対する課税繰延措置を創設するというものだ。

 これにより、買い手側としては、ベンチャー企業のようにM&Aに係る手元資金に充分な余裕がない場合や、M&Aのために大規模な借入を行うことで、財務基盤の悪化や信用格付けの低下などに繋がる恐れがある場合でも、自社の手元資金を気にすることなく大胆なM&Aが可能となる。一方、売り手側としても、M&Aを通じて企業価値をより高めようとしている企業の株式を保有することができ、投資資金を成長期待の高い企業に移すことができる。こうしたことが株式対価M&Aの意義として示されている。

 同省では、企業間連携を促し、機動的な事業再編の円滑化・効率的なグループ経営を後押しするため、連結グループへの加入時の時価評価課税や繰越欠損金切り捨ての対象を縮小するなど、連結納税制度の見直しも求めている。なお、その際には研究開発税制や外国税額控除など、連結グループ一体となって活用されるべき税制措置の取扱いや、連結グループ全体で活用できるとする親会社の繰越欠損金の取扱いを堅持することを盛り込んだ。

 さらに、3月決算企業の場合、法人税の申告期限は申請により6月末まで延長が認められるが、消費税には申告期限を延長する特例がないため、消費税の申告期限の5月末までに法人税の申告調整を行わなければならず、消費税の申告後に法人税の申告調整が発生した場合、消費税額が変動し、修正申告や更正の請求を行う必要があった。そこで、企業の事務負担を削減するため、消費税の申告期限を1カ月延長する特例の創設を要望した。

 そのほか、中小企業による30万円未満の少額設備投資等の即時償却を可能とする特例措置や、中小企業の交際費を800万円まで全額損金算入可能とする特例措置の延長などを求めた。

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